『建築士と建築施工管理技士について』

『建築士と建築施工管理技士について』
  (オーナーズビジョン ニュースレター 投稿1月号)

一級建築士及び二級建築士制度は昭和25年に建築士法が制定され、昭和59年には木造建築士も制定された昭和59年はバブルに沸く日本列島では、各地に建設バブルにより、設計監理の重要性とともに、施工技術の重要性も大きな問題になり、国土交通省(旧建設省)により建設業法に基づく建築施工管理技術検定が昭和58年より制定されました。 同時に一級建築士の称号を高める為に難問試験とした結果、一級建築士の合格率は年々低くなり、一方一級施工管理技士は合格率が高く、同じ国家資格でありながら、一級施工管理技士にとっては一級建築士の格下で、悪い言い方をすると何年かかっても一級建築士が取れない人が一級施工管理技士に甘んじてしまうのも事実です。私も両方を取得しておりますが、一級は2、3年かけて勉強時間に対して1年で取得した施工管理技士の取得は、100倍くらいの差があるような感じでした。よってどのゼネコン建築部の幹部は一級建築士の取得者で、私の前職の建築部次長職以上は全員が一級建築士でありました。一級建築士の試験は、計画・法規・構造・施工・設備などから幅広く出題されます。一級施工管理技士は、施工に特化した試験です。出題される法規も施工に関係する安全衛生法に限られます。出題範囲だけみても、幅広い知識を要求される一級建築士の方がはるかに難易度は高いです。どちらも国家資格でありますが、業務範囲(責任範囲)も昨今の業務の量、多種多様な事をこなしていかなければなりませんので、ある程度所掌範囲が決まってきており、一級建築士は、建物の意匠設計と構造設計及び設備設計等をおこなえることが法的に認められており、施主の代理人として、行政又は指定検査機関に確認申請の手続き、提出をすることが出来ます。 一方建築施工管理技士は、建築士が設計した建物を設計どおりに工事をおこなうように管理する業務を担っており、品質管理、原価管理、工程管理、安全管理を遂行して、一級建築士が作図(構造計算)した二次元を三次元にしていきます。 このように、両者は建築分野で高度な知識と技術を持つプロフェッショナルとして活躍する点では同じですが、仕事内容は違ってきます。ゼネコンなどにおいては、一般的に一級建築士は、設計監理のスペシャリスト、一級建築施工管理技士は、施工管理のスペシャリストとして認識されております。ただ残念なことに、ここ数年、建築士や施工管理技士の両方とも国家資格として免許を取得していても姉歯事件や昨年横浜で起きた、杭データーねつ造など、モラル、倫理観の欠如が目立った事件が多発しており、同じ免許取得者として悲しくなってしまいます。

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